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翻訳は「言葉の置き替え」ではない

証明書の翻訳をしていると、もとの日本語の意味が分からないことが多々あります。
そんなときは、先ずその意味を調べて正しく理解してから、できるだけ正確に意味を伝える工夫をしています。

翻訳者泣かせの1つは、戸籍謄本の「身分事項 出生」の欄にある ①「受理者」②「送付を受けた日」
という表現です。

これだけでは ①「受理」は受付または登録の意味か ②誰が何の送付を受けたのかがわかりません。
正確には
①は「出生届を受付けた役所の長」 
②は「受付けた役所から送られた届出を本籍地の役所が受け取った日」 という意味です。

そのまま書くと長すぎるので戸籍謄本ではかなり短縮されているわけです。
ですので、これを字面だけとらえて
① をReceiving authority/Accepting authority
②をDate of receiptと置き換えてしまうと、誰が何を受け取ったのかが正しく伝わりません。

① Receiveとacceptは、どちらも日本語では「受け入れる」と訳せますが、実は前者は「受動的に受け取る」(例:When will I receive the package?)後者は「同意/受諾する」(例:Do you accept the conditions of this website?)というニュアンスで使われます。

例えば次のような違いがあります。
We have received your proposal. (提案書を拝受致しました。)
We accept your proposal. (御社のご提案を受諾致します。)

本題に戻ります。
戸籍にある「受理者」は届けを受付けた(received)人であり、「送付を受けた日」は 本籍地の役所が届けを戸籍に記録した日なので、これを正しく伝える工夫が必要です。

自治体によっては、こんな表現を使っています。
「受理者」Person who accepted the notification 
「送付を受けた日」Date when the forwarded notification was received.

当事務所では「誰が何をしたか」を明確にするため

「受理者」の欄は Received by:
「送付を受けた日」は Date accepted by Honseki Office:

と表記しています。

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